安全地帯I Remember to Remember

安全地帯I
安全地帯スタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル
時間
レーベル Kitty Records
プロデュース 星勝
チャート最高順位
安全地帯 アルバム 年表
安全地帯I Remember to Remember
(1983年)
安全地帯II
1984年
EANコード
EAN一覧
  • EAN 4988031005941(1990年)
    EAN 4988031008904(1992年)
    EAN 4988005461179(2007年)
    EAN 4988005605115(2010年)
    EAN 4988031250730(2017年)
『安全地帯I Remember to Remember』収録のシングル
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安全地帯I Remember to Remember』(あんぜんちたいワン リメンバートゥリメンバー)は、日本のロックバンドである安全地帯の1枚目のオリジナル・アルバム

1983年1月25日にKitty Recordsからリリースされ、作詞はほぼ全て松尾由紀夫、作曲は全て玉置浩二、プロデューサーは星勝が担当している。

レコーディングは1982年に日本国内で行われ、後に至るまで安全地帯や玉置のソロ作品にも参加する事となるキーボーディスト川島裕二が参加している。サウンドはドゥービー・ブラザーズのようなアメリカンロックを基調としたアルバムであるが、ニュー・ウェイヴからの影響によりキーボードの音色が全面的に取り入れられたアレンジとなっている。

デビューシングルである「萠黄色のスナップ」は、本作には収録されておらず、2枚目のシングル「オン・マイ・ウェイ」が収録された他、後に「ラスベガス・タイフーン」がシングルカットされてリリースされた。本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位22位となった。

背景

幼少期より歌手になる事を志望していたボーカルの玉置浩二は、中学校に進学した頃にグループ・サウンズへの興味から武沢豊と共に「インベーダー」というバンドを結成する[2]。バンドに武沢の兄である俊也が加入し、バンド名を変更する話となり、当時ベースを担当していた同級生が交通教本に載っていた道路標識を見て「安全地帯」という名を提案、また当時ピースサインが流行しており、安全地帯のV字のデザインと合致する事、さらに頭脳警察四人囃子などの同時代の漢字4文字のバンドに影響され、正式に「安全地帯」と改名された[3]

1972年にはヤマハポピュラーソングコンテストに出場し、優秀賞を獲得する[4]。ロックに傾倒していた玉置はドゥービー・ブラザーズを好んで聴いており、その影響から武沢俊也がドラム、新たに加入した宮下隆宏がベースを担当する形で5人編成となり、後の安全地帯の原型が出来上がった[5]

1977年には六土開正矢萩渉、田中裕二が所属していた「六土開正バンド」に玉置が声を掛け、安全地帯への参加が決定する[6]。この事で一時メンバーが8人となったが、宮下、武沢俊也、田中は脱退し、代わりのドラムスとして大平市治が加入し5人編成となった[7]

その後メンバーは旭川市永山にある廃屋を借り、自分たちで木材を購入するなどして寝室付きのスタジオに改造、そこでの音楽生活を始めた[8]。そのスタジオは「音楽農夫になって田んぼのまんなかで音楽を耕していくのもいいじゃないか」との思いから「ミュージカル・ファーマーズ・プロダクション(MFP)」と名付けられた[9]。また、武沢の親戚にあたる人物が、デモテープをキティレコードの社長に届け、後に安全地帯のディレクターを担当する事となる金子章平の手に渡り、興味を抱いた金子は旭川を訪れ、メンバーと邂逅する事となった[10]。また、同時期にバンドのプロデューサーとなる星勝も旭川を訪れており、玉置に対し「僕と10年いっしょに音楽をやりましょう」と告げた[11]

1981年7月、星の紹介により井上陽水がMFPを訪れ、セッションを行う事となった[12]。これが切っ掛けとなり、井上は金子からのアイデアを受け、安全地帯をバックバンドとして連れて全国ツアーを行う事を打診[12]。これに対し玉置は初めは戸惑いを覚えたが、「チャンスなんだから行こう」と考え、上京を決定した[13]。同ツアーにはキーボード奏者の中西康晴BAnaNAも参加していた[14]

その後メジャーデビューが決定し、玉置自身が「絶対売れると思っていた」との自信から、アマチュア時代のレパートリーから厳選する形で1982年2月25日にデビューシングル「萠黄色のスナップ」がリリースされ、続いて10月25日にはセカンドシングル「オン・マイ・ウェイ」がリリースされた[15]。また、デビュー時のドラムスであった大平は程なく脱退し、田中が復帰する事となった[16]

録音

本作のレコーディングは1982年8月18日から11月20日にかけて、KRSスタジオおよびポリドールスタジオにて行われた。

本作のプロデューサーは星勝が担当している。星はロックバンド「ザ・モップス」のメンバーであり、またアレンジャーとしてザ・ピーナッツ井上陽水RCサクセションなどの作品に参加していた。

この頃の安全地帯は限られた時間の中で試行錯誤を繰り返しており、デビュー曲ではバンドサウンドを前面に出した作風であったが、本作ではキーボードを全面的に取り入れ、サウンド全体にリバーブをかけてボーカルが際立つような音の配分となっている[16]

また、ドラムス担当が大平から田中に変更された事なども影響し、これまでにリリースされたシングルではナチュラルな響きのサウンドであったのに対し、本作では派手なエフェクター処理などを採り入れており、デビューからおよそ1年間のあいだに音楽性が激変する事となった[16]

音楽性

玉置浩二の自伝本『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』では、「サウンド全体の音色の選び方やアレンジからは、当時、世界のロック・シーンを席巻していたニュー・ウェイヴの影響が感じられる」、「デビュー直後の玉置たちは、試行錯誤を繰り返す中で、ちょうどイギリスを中心に盛り上がってきていたポリスなどに代表されるニュー・ウェイヴ系、ヨーロッパ系のアーティストの音作りのアイデアを、新しい刺激として速やかに吸収した」と表記されている[17]

音楽情報サイト『CDジャーナル』では、「『オン・マイ・ウェイ』をはじめとしたロック色の強い楽曲を収録している」と表記されている[18]

リリース

本作は1983年1月25日LPCTの2形態でリリースされ、1984年6月1日CDでリリースされた。

その後1990年7月25日、1990年9月25日1992年11月21日2007年3月7日にはCDにて、2010年3月3日には完全復活を記念してSHM-CDにて[19]2017年11月22日にはデビュー35周年を記念してLP盤を再現した紙ジャケット、SHM-CDにて再リリースされた[20][21][22]

それ以外にも1996年10月2日にはCD-BOX安全地帯 メモリアル・コレクション』に収録され、2010年6月23日にはCD-BOX『安全地帯BOX 1982-1993』に収録されて再リリースされた[23]

批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
TOWER RECORDS ONLINE肯定的[24]

音楽情報サイト『TOWER RECORDS ONLINE』では、本作に関して「まだまだ初々しさが見えかくれする」と指摘しているが、曲の質の高さを取り上げた上で「この頃から、実力は充分にあったことを知らしめる」と肯定的に評価している[24]

チャート成績

オリコンチャートではLP盤が最高位26位、登場回数26回、売り上げ枚数5.3万枚[1]、CT版は最高位22位、登場回数29回、売り上げ枚数は5.4万枚となり、累計では10.7万枚となった。2022年に実施されたねとらぼ調査隊による安全地帯のアルバム人気ランキングでは6位となった[25]

収録曲

SIDE 1
全作詞: 松尾由紀夫、全作曲: 玉置浩二、全編曲: 安全地帯、星勝
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.ラスベガス・タイフーン(LAS VEGAS TYPHOON)松尾由紀夫玉置浩二
2.ラン・オブ・ラック(RUN OF LUCK)松尾由紀夫玉置浩二
3.エイジ(AGE)松尾由紀夫玉置浩二
4.イリュージョン(ILLUSION)松尾由紀夫玉置浩二
5.サイレント・シーン(SILENT SCENE)松尾由紀夫玉置浩二
合計時間:
SIDE 2
全作曲: 玉置浩二、全編曲: 安全地帯、星勝。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
6.オン・マイ・ウェイ(I'LL BE ON MY WAY)松尾由紀夫、清水宗己、パトリック・ナプクム玉置浩二
7.ビッグ・ジョーク(BIG JOKE)小椋佳リンダ・ヘンリック玉置浩二
8.リターン・トゥ・フォーエバー(RETURN TO FOREVER)松尾由紀夫玉置浩二
9.冬CITY-1松尾由紀夫玉置浩二
10.エンドレス(ENDLESS)松尾由紀夫玉置浩二
11.アイ・ニード・ユー(I NEED YOU)松尾由紀夫玉置浩二
合計時間:

スタッフ・クレジット

安全地帯

参加ミュージシャン

スタッフ

  • 星勝 - プロデューサー
  • 近藤由紀夫 - ディレクター
  • 酒井祐司 - アーティスト・マネージメント
  • 諸鍜治辰也(KRSスタジオ) - レコーディング・エンジニア、リミックス・エンジニア
  • 清水高志(KRSスタジオ) - レコーディング・エンジニア、リミックス・エンジニア(6曲目のみ)
  • 山崎進 - アシスタント・エンジニア
  • 脇田貞二 - アシスタント・エンジニア
  • 井川彰夫 - アシスタント・エンジニア
  • 丸山光晴(KRSスタジオ) - アシスタント・エンジニア
  • 酒井治 - デザイナー
  • 庄司香乃子 (Soap) - デザイナー
  • 鶴田直樹 - フォトグラファー(フロントカバー)
  • 佐藤秀春 - フォトグラファー(バックカバー)
  • 山崎徹 - フォトグラファー(インナーカード)
  • 千木幸一 - アーティスト・ロゴ・デザイナー
  • 井上彬 - A&R
  • 森川欣信 - A&R
  • 斎藤テツ - パブリック・リレーションズ
  • 木内和博 - スペシャル・サンクス
  • 井上陽水 - スペシャル・サンクス
  • 喜多浩二 - スペシャル・サンクス
  • 中西康晴 - スペシャル・サンクス
  • 川島裕二 - スペシャル・サンクス
  • 大平市治 - スペシャル・サンクス
  • 松尾由紀夫 - スペシャル・サンクス
  • 多賀英典 - エグゼクティブ・プロデューサー

リリース履歴

No. 日付 規格品番 最高順位 備考 規格 レーベル
1 1983年1月25日 28MS 0025
28CS 0025
22位 LP
CT
Kitty Records
2 1984年6月1日 3133-11 - CD
3 1990年7月25日 - -
4 1990年9月25日 KTCR-1043 -
5 1992年11月21日 KTCR-1201 -
6 1996年10月2日 KTCR-1601 - CD-BOX『安全地帯 メモリアル・コレクション』に収録
7 2007年3月7日 UPCY-6328 - UMJ
8 2010年3月3日 UPCY-6570 - SHM-CD
9 2010年6月23日 UPCY-9197 - CD-BOX『安全地帯BOX 1982-1993』に収録
10 2013年3月1日 - - デジタル・ダウンロード AAC-LC
11 2017年11月22日 UPCY-9706 - 紙ジャケット仕様 SHM-CD

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b オリコンチャートブックLP編 1990, p. 70.
  2. ^ 志田歩 2006, pp. 24–25- 「第2章 幼きカリスマ」より
  3. ^ 志田歩 2006, p. 28- 「第2章 幼きカリスマ」より
  4. ^ 志田歩 2006, p. 29- 「第2章 幼きカリスマ」より
  5. ^ 志田歩 2006, pp. 30–31- 「第2章 幼きカリスマ」より
  6. ^ 志田歩 2006, p. 32- 「第2章 幼きカリスマ」より
  7. ^ 志田歩 2006, p. 34- 「第2章 幼きカリスマ」より
  8. ^ 志田歩 2006, pp. 36–37- 「第2章 幼きカリスマ」より
  9. ^ 志田歩 2006, p. 38- 「第2章 幼きカリスマ」より
  10. ^ 志田歩 2006, pp. 40–41- 「第3章 ワインレッドの心」より
  11. ^ 志田歩 2006, p. 44- 「第3章 ワインレッドの心」より
  12. ^ a b 志田歩 2006, pp. 46–48- 「第3章 ワインレッドの心」より
  13. ^ 志田歩 2006, p. 48- 「第3章 ワインレッドの心」より
  14. ^ 志田歩 2006, p. 49- 「第3章 ワインレッドの心」より
  15. ^ 志田歩 2006, pp. 63–64- 「第4章 スターダム」より
  16. ^ a b c 志田歩 2006, p. 64- 「第4章 スターダム」より
  17. ^ 志田歩 2006, p. 65- 「第4章 スターダム」より
  18. ^ “安全地帯 / 安全地帯1 Remember to Remember [紙ジャケット仕様] [SHM-CD] [限定]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2019年3月30日閲覧。
  19. ^ “安全地帯 / 安全地帯1 Remember to Remember [SHM-CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2019年3月30日閲覧。
  20. ^ “安全地帯、これまでの全オリジナルアルバムを紙ジャケット仕様にして再販決定!”. OKMusic. ジャパンミュージックネットワーク (2017年9月15日). 2019年3月30日閲覧。
  21. ^ “安全地帯デビュー35周年、オリジナルアルバム14タイトルを紙ジャケで一挙再発”. Musicman-net. エフ・ビー・コミュニケーションズ (2017年9月15日). 2019年8月12日閲覧。
  22. ^ “安全地帯、1983~2013年発表の14タイトルが紙ジャケで一挙再発”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2017年9月19日). 2019年3月30日閲覧。
  23. ^ “安全地帯 / 安全地帯BOX 1982-1993 [12CD+DVD] [SHM-CD]”. CDジャーナル. 音楽出版社. 2019年3月30日閲覧。
  24. ^ a b JMD (2019年2月2日). “安全地帯/リメンバー・トゥ・リメンバー”. TOWER RECORDS ONLINE. タワーレコード. 2019年8月12日閲覧。
  25. ^ “【安全地帯】好きなアルバムランキングTOP14! 第1位は「安全地帯III ~抱きしめたい~」!【2022年最新投票結果】(3/6)”. ねとらぼ調査隊. アイティメディア. p. 3 (2022年3月19日). 2022年3月5日閲覧。

参考文献

  • 『オリコンチャートブックLP編 昭和45年-平成1年<20年>』オリコン、1990年5月10日、70頁。ISBN 9784871310253。 
  • 志田歩『玉置浩二 幸せになるために生まれてきたんだから』雲母書房、2006年4月30日、24 - 65頁。ISBN 9784876722006。 

外部リンク

  • 安全地帯* – Remember To Remember - Discogs (発売一覧)
安全地帯
玉置浩二 - 矢萩渉 - 武沢豊 - 六土開正 - 田中裕二
シングル
フィジカル・シングル
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
配信限定シングル
2020年代
アルバム
安全地帯のアルバム
スタジオ
サウンドトラック
ベスト
企画
セルフカバー
ボックス・セット
ライブ
カテゴリ カテゴリ
映像作品
1980年代
1990年代
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関連項目

キティレコード - ソニー・ミュージックエンタテインメント (日本) - ユニバーサル ストラテジック マーケティング ジャパン - Template:玉置浩二

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